"泣ける映画"なる括りがある。映画の部分をドラマや小説に変換してもいい。そういう作品は大体何かしらが死ぬ。人とか犬とかが死ぬ。あくまで偏見であるのでその限りではないのかもしれないが、まあ死にがちである。映画の情宣で素人風のお嬢さんが｢めっちゃ泣けました🥲｣とか言いがちである。もう一回言っておくが、怒涛の偏見である。
そのようなものを眺めていると、人とか犬とかがしっとりと死ぬ作品＝泣ける作品のような風潮が存在するかのように感じる。しかし私は思う。純愛ものの方が泣けませんか…？と。
私は純愛ものを見ると高確率で泣く。隣で同じ作品を見ていた母が｢え、今の泣くポイントあった？｣と若干引くぐらい泣く。
自分でも何故なのか分からない。でもやたらめったら泣く。感情がでかければでかいほど泣くし、家だったら少々しゃくりあげて顔が腫れて翌日の顔が心配になるぐらい泣く。いや、映画館でも泣いてたかもしれない。
『初めて恋をした日に読む話』『恋は光』『水は海に向かって流れる』『美しい彼』『G線上のあなたと私』『生のみ生のままで』『シジュウカラ』『恋です！〜ヤンキー君と白杖ガール〜』『星降る夜に』『アイスクリームフィーバー』
全部泣きました。全部分類上はラブコメです。コメかどうかは怪しいのあるけど恋愛ものです。たぶんまだまだあるけどパッと思い出したやつだけ羅列しました。人、死にません。犬も死にません。
本当に、本当に弱い。デカい愛に本当に弱い。デカい愛を目の当たりにすると即泣ける。昨日見たドラマを思い返して職場で泣きそうになったりする。仕事をしなさい。
逆に、逆にですよ？泣かないんですか？皆さんは恋愛ものを見て泣かないんですか？本当に？泣く以外のどういう感情を抱くんですか？良かったねえ☺️で終わりなんですか？いや泣きますよね？正直に言いなさい。
私の恋愛ものに対する感情、｢良かったねえ☺️｣で全く収まりきらないし、何なら胸キュン❣️なんてものも求めてないし、求めているのは血反吐吐きそうなほどのデカすぎる情念と、理性とは裏腹に湧き上がってしまう衝動と、それに伴う懺悔と葛藤とそれが許容された時の安堵と戸惑いに似た多幸感なんですよね。一体何の話なんだろうか。
もうね〜〜 何なんだろうね…自分でも曖昧だから言語化がすこぶる難しいんだけど、｢良かったねえ☺️｣では決して無いんだよね…うーん…あえて言うのであれば、
｢この汚くて不条理でどこを切り取ったって悲しくならざるを得ない世界で、こんなに大きくて圧倒的で全てを許容する愛が存在している……存在を許されている……お互いがお互いを守り決して傷つかない世界、こんな空間がこの世に一時でも存在していいのかよ……あまりにも奇跡じゃん………尊い………｣
みたいな感じ。うん。
とにかく信じられないんですよね。愛が。いや、そこそこ愛されて育ってきた自覚ありますけど、それでもやっぱり信じられないんですよね。だから目の当たりにすると泣くしかなくなるんですよね。こんなのありかよ…尊すぎんだろ…ってなるしかないんですよね。
逆に人が死ぬやつはあんまり泣けたためしがない。人の心がないのかもしれない。例えばヒロインが亡くなって、残された男が男泣きしてるところを見ると、おーおーかなちいねぇ…よちよち…みたいな気持ちにはなるんだけど、自分は泣けない。保護者目線になってしまう。単純に今のところ好意を寄せていた人間が死んだことないからイメージつかないだけかもしれない。感情のサンプル不足に伴う想像力の欠如。
だって奇跡じゃないですか。好いた人間に好かれるとか奇跡じゃないですか。そもそも人を好きになれること自体奇跡だし、さらに向こうからも返ってきたりしたらいよいよ奇跡でしかなくなるじゃないですか。いや、確かにね、現実的にいろいろと考えてしまうと、付き合ったらDV受けたとか結婚したから離婚したとかそういうルートがあるのは百も承知なんですけど、それはそれとして奇跡じゃないですか。例え悪辣な未来が待っていようとも、いまこの瞬間の尊みを噛み締めていたいじゃないですか。
しつこすぎるGreeeenみたいになってて自分で自分にややウケているのですが、割と軽率にそのゾーンに行ってしまう。上質な純愛ものを見ていると。そして泣く。情緒不安定かな？
ここまで書いていて気づいてしまったんだけど、純愛ものを楽しみつつ平静を保てる人ってこの"奇跡"みを感じないのでは…？この世を汚いと思ってなくて、そもそも愛が溢れていて当たり前で、人と人が出会うなんて生きてりゃ普通にあるよね〜☆みたいに思っているのでは…？
へぇ………………………………………………………………………………………………………………………………………
泣いてきます
