左右盲とは:とっさに左右が分からない人のこと。
左右盲という概念を知った時、あまりにも「これは私だ」と思った。大した問題ではない、「とっさに分からない」なので、ちょっと考えれば左右を判別できる。しかし瞬時に判別できる者と比較すればどうしたってワンテンポ遅れる。ストレスというほどでもないが、常に地味にモヤっとしていた私にとって"この現象に名前がある"ということ自体が光明であった。インターネットはありがたい。
しかし名前がついたところでわからんものはわからんという側面もある。ので、この地味なモヤっとについて文字を書き殴り、モヤっとボールを伊東四郎に投げつけるように鬱憤を晴らそうと思う。
さらりと書いてしまったが、モヤっとボールって現代っ子には通じないかもしれない…と思いググったところ、IQサプリの放送終了は2009年らしい。当時生まれたエケチャンがそろそろ高校生になる頃合いだ。嘘だろ…?
・「向かって右側のドアが開きます」と言われて左側に行く
もうドアに色とかつけといてほしい。右は赤、左は青とかでベタ塗りしてもらって「赤い扉が開きます」とか言ってほしい。それなら分かる。色盲の方には優しくないが。
・「次の角を向かって左に曲がってくださいね」「どっちですか!?!!?」
運転免許の教習中の話である。ただでさえ運転をしているというだけでパニクっているので、左右を考える余裕がなかった。教官の顔を見たわけではないが、明らかに衝撃を受けていたと思う。そりゃそうだ。よく免許取れたな…今となっては完全ペーパーだけど…
・『お箸を持つ方が右』『鉛筆を持つ方が右』
幼稚園でのこの刷り込みが勝手に諸悪の根源だと思っている。私はお箸は左、鉛筆は右で持つ人間である。知らんがなと言われればそれはそう。
・視力検査、ほぼ脳トレ
地味に今いちばん困るのはこれかもしれない。小さい頃は開いてる方を指で指すというやり方でやりすごしていたが、さすがに大人になると羞恥心が勝る。ので、必死で毎回左右を考えて答えている。見えてないんじゃないんです、左右が分からないんです。
この世、左右が分かる者向けに作られすぎている。(そりゃそう)
もうお天気お姉さんが持っているみたいな指差し棒を常に携帯していたい。なんらかの力で音声を聞き取り、「右」といえば「こっちだよ!」と教えてくれる何かが欲しい。しかし左右がとっさに分からないというだけでそんな不気味な棒を携帯しなきゃいけないのも癪である。やめておこう。
最後に、同じく左右盲の方向けに私の左右の考え方を伝授しておく。
色々試してみたが、これが一番明確で間違えることがない方法である。
左右が分からなくなった時、頭の中にクソデカ文字を召喚するのだ。
左 右 と。
必ず横書きで召喚するのだ。横書きで「左右」と書いた時、左の方が左で、右の方が右だ。左右が分かる人には何言ってんだコイツと思われるであろうが、これが一番わかりやすいのである。「さゆう」と漢字で書いた時に左の方が左で、右の方が右なのだ。きっと左右盲の者のために「みぎひだり」ではなく「さゆう」なのだ。知らんけど。
左右盲の仲間たちが参考にしてくれると嬉しい。
また、左右盲でない者は左右盲の者が左右で思考停止している時に(あ、今こいつは左右を考えているんだな…)と思ってくれると嬉しい。左右以外のことを考えてる可能性もなくはないが、ワンテンポ遅れても不審に思わないでほしい。怪しいものではありません。左右を考えています。
ホスピタルの待合室でこれを書いていたらいい感じに呼ばれたので終わります。
皆様に良い左右盲ライフのあらんことを。