前置き
2023年7月某日、私は思った。浴衣が着たいと。
最後に浴衣を着たのは13歳の時だったと思う。以降10年間着ていないことになる。そろそろ着てもいいのではないか。というか今こそ着るべきなのではないか。唐突にそう思った。
しかしながら、浴衣って見目こそかわいいものの着るとなるとややダルくないですか。具体的に言えば、暑い。着崩れる。なぜかおはしょりが崩壊する。なぜか胸元がはだける。アンラッキースケベが発生してしまう。
そもそも着るのも難しい。慣れた方ならきっと一瞬で着付けられるのだろうが、不器用かつ粗雑の擬人化である私はそうもいかない。おはしょりを良い感じにキープしつつ、いろんな紐を体に括り付け、タオルを巻きつけ、板を挟み…と考えるだけでやる気が失せる。しかも崩れる。しつこいようだが崩れる。これが許せない。
そんな感じで着たい!の気持ちとダルい!の気持ちが競っていた時、X(Twitter)で見かけたのが「セパレート浴衣」という代物だった。ワンピースと羽織りを着たら自動的に浴衣っぽくなる!というものだ。
良いじゃん!と思い、関連ツイートを見回していたところ、「今はセパレートって言うんだ。昔は二部式の着物ってあったよね」的な投稿を目撃。即座に「二部式 浴衣」でググる。読んで字の如く、浴衣を上と下に分けて着付けを楽ちんにしたものだ。
私は思った。
これ、作れるんじゃね?と。
幸いと言うべきか、元となる浴衣は同居の祖母がかなりの数を持っている。桐箪笥の中にぎゅうぎゅうと入っていて、そして今現在誰も着ていない。最初に言った13歳の時に着たやつもその中にある。これは…作れるね……??
以上の経緯で二部式の浴衣を作ろうと思い立った23歳女性の製作記録を以下に綴ろうと思います。
⚠️注意事項
・あくまで「浴衣っぽさ」が出来ればヨシというものなので、お作法的には正しくなかったりするかもしれない。薄目で見て。
・写真は鏡に映った姿を撮ってたり撮ってなかったりするので、左右反転してたりしてなかったりする。
・和服はもちろん裁縫についてもど素人なので、お裁縫についての詳細はググった方が良い。私はノリと雰囲気でやっています。
では始めよう!!
1、浴衣を箪笥から出し、測定し、裁断
標的となった浴衣がこちら。
祖母から許可を得てかっぱらったものです。
余談ですが、10年前に着たのも同一浴衣です。
当時の写真を見たら思ってたより華奢で、現状と比較して軽めのショックを受けました。
上と下に分けるので、まずはどこらへんで切るかの目星をつけないといけません。
なので、とりあえず着てみました。
当然ですが引きずります。
おはしょり製作のためウエストを紐で縛る。
紐はそこらへんに転がっていた靴紐を使いました。なぜ靴紐が転がってるんでしょうね…
なんとなく布を整えたらおはしょり爆誕!
足が見えましたね。
で、ここまでやっておいて何なんですが、布を切るためには下書きというか、目安が必要じゃないですか。それをどう記録するか全く考えてなかったんですね。あほだね。
周辺を見渡して何か使えそうなものがないか探索し、たどり着いたのが
これ(マステ)を
こうして
こう!
※たぶんまち針とか使った方が生地にもやさしいしお行儀もいいと思います。苦肉の策です。
方法はさておき、私の身長とこの浴衣の場合、裾から80cmぐらいで裁断すればいいということが明らかになりました。チャコペンで目安を整えてはっきりさせたら切ります。ジャキッといきます。
切っちゃった切っちゃった🎵もう後戻りできない🎵
2、下部分を整える
下部分、ここはそんなに工夫要らないですね。要は巻きスカート的な感じにすれば良いのです。
とりあえず切ったところを切りっぱなしのままにしていたらほつれてしまうので、切れ端の部分を三つ折りにして並縫いをします。
かがり縫いとかした方がいいとは思いますが、技術がないので細かい並縫いで強行しました。
まあ最終上着やら帯やらで全部隠れるところなので、そこまで気張らなくてもいいやろの気持ち。
ミシンでも勿論いいと思います。というか、私も最初はミシンでしようとしたんですが、何故か糸が絡まってガチガチになるというトラブルが発生したために手縫いにシフトしました。
※その後無事ミシンは直りました。
ただの四角い布、爆誕!
ここで取り出すのはなぜかそこら辺にあった紐!!
布の両端に縫い付けて、腰をぐるぐる巻いてぎゅっと結べるようにします。
ちなみにこの紐は本当にそこらへんにあった紐ですが、普通そんなに都合のいい紐って存在しないと思うので、事前に準備しておいた方がベターですね。それはそう。浴衣が大きくて生地が余るようだったら、それで紐を作ったりしても良さそう。
両端に縫い付けて、紐を通すための穴を開け、その周りをかがり、ちょっとやそっとじゃ破けないように補強します。
下だけ着てみたの図。なかなかそれっぽいのでは?とりあえず下は完成!
3、上半分を整える
下半分はまっすぐに切って真っ直ぐに縫えば良かったんですけど、上半分はそうもいきません。なぜって、真っ直ぐに縫ってしまったらおはしょりがガタガタになるから。
なので、前身ごろを斜めにキープしつつおはしょりは地面と平行に、真っ直ぐになるように縫わないといけません。かつ、左の身ごろが右の身ごろの中にちゃんと収まらないといけません。
頭で考えるより着た方が早いので、着ます。
着て、良い感じのおはしょりを再現し、そこをまち針でビシバシと留めていきます。今回はマステではどうにもなりませんのでね…
体を針でブッ刺さないように気をつけよう!
結果このようになります。
写真だと非常にわかりづらいですが、まち針を打ったものをそのまんま脱いだ状態です。
左右の身ごろがきちんと重なっていて、かつおはしょりの底辺が水平になっていれば良し。
まち針を目安にして、右身ごろ部分以外だけおはしょり部分を縫っていきます。一部を除きおはしょり確定させてしまいます。
縫い方は切れ端部分を三つ折りして並縫い。安定の並縫い。
写真は縫い付け終わった背中です。
わかりづらいですが、柄の部分を見ると並縫いの痕跡が見えると思います。縫い目はなるべく目立たない方がいいですが、どうせ最終的にここらへん帯で隠れるやろ!という強い気持ちでやっちゃいましょう。糸の色だけ気をつけよう。
そして先ほど太字で書いた右身ごろ部分。
これは最終的に左身ごろを包んで折り込む形になります。
なので、おはしょり確定せずに端の処理だけしておきます。端を三つ折りして並縫い。
上半身、完成!
4、帯をどうするか考える
恐ろしいことにここまで考えてなかったんですよね。恐ろしいことに。
作り帯ってあるじゃないですか?こう、上から結び目をグサっと差して完成!みたいなやつ。
あれを作るべきか…?と考えたんですが、さすがに難易度高そうだし、帯はあるけど帯をぶった斬るのは罪悪感が湧く。浴衣をぶった斬っておいて今更感はありますが。
てか普通に結べるならそれが一番じゃんね。という至極真っ当なことに気づき、「帯 結び方」でググってみました。
そしたらですよ。出るわ出るわ、叡智のサイト。当然といえば当然ですが、あまりにも有能すぎる。痒いところに手が届きすぎている。さすがはインターネット。これこそインターネットの正しい使い方。
私が参考にしたのはこちらのサイト↓
このサイト、着物と浴衣に分けて色々な帯の結び方が都度画像付きで説明されております。画像とテキストなの本当にありがたい。動画苦手民に優しい。
取り急ぎ一番簡単と書かれている文庫結びをやってみた。見よう見真似で。
結べたな……。
いや、確かにちょっと幅がおかしいし、バランスもおかしいし、下手ではあるんだけど、結べたな??しかも結構しっかりギュッと結べたな??これいけるな??作り帯作らなくてもいけるな???
ミッション帯、解決──────。
5、着てみよう!
ゴリゴリの手前味噌なんですけど、結構いい感じではないですか……??パッと見それなりにちゃんとして見えませんか……???
帯はこんな感じ。何回か結んでたらちょっと上手になった。デカリボン。
着方はもうそのまんまで、下巻いて、上羽織って、おはしょり折り込んで、帯結んだだけ。ちょっと襟のあたりを抜いたり胸元をピシッとさせたら終わり。
上出来では???初めてにしては上出来では???
動いても崩れないし、崩れたとしてもすぐ直せるし、タオル巻いてないから暑くない。上出来では????🥳🥳🥳
まとめ
作るのかなり簡単だし着るのは相当簡単だし着た後もかなり楽。良い。すごく良い。
ひとつ考えるとするならば、おはしょり確定さえすれば上下に切り離す必要すら無いのでは…?というところ。それだともっと早く手軽に作れるよね。これは後日実験をしようかなと考えています。
帯の結び方も、今は文庫結びしかできないけど他もやってみたい気持ちがある。でもとりあえずひとつでも結べたことが嬉しい!案外簡単!
家に浴衣があるけど、着付け面倒で誰も着ない…でも着たい気持ちはある…みたいな人は思い切って改造しちゃうの、めちゃくちゃアリだと思います。マジで着るのが楽。5分で着れる。
もう夏も終わりかけですが、拵えた浴衣を着て花火見に行こうと思ってます🎆
地味に花火見たことないので楽しみ。音が怖いので耳栓していきます。
めちゃくちゃ行き当たりばったりの記録ですが、どこかの誰かのお役に立てたら幸いです。
みんなも浴衣を改造しよう!ではね!