のらりくらりくるりゆるり

ツイッターでまとまらないこと

藤井風のライブに行ったら人間っていいなと思った

藤井風さんのライブに行きました。

 

今帰りの電車の中で、正直浴びたてホヤホヤで、はっきり言って私は正気じゃない。でもそんな時にしか書けないもんがあるような気がしてスマホ打ってる。ツイッターに収まりきらない気がするし、まだ岡山控えてっからネタバレ踏みたくない人もいるだろうからこっちに書くね。これはレポというか記録というほどのものではない、ただの感想というか日記。のつもり。ちょっと書かせてね。\ いいよ /

 

私はついさっきまでいつも通り仕事して、終わってからライブへ行きました。昨年5月頃だっけ?に藤井風氏の初回盤買って、それに入ってた番号で申し込んだら運良く当たったのでね。おっラッキー!てな感じで行った。

 

そもそも彼を知ったのは2年前ぐらいで、最初は「何か男前な兄ちゃんがやたら上手く椎名林檎をカバーしてら。YouTubeフォローしたろ」ぐらいの印象。私は椎名林檎のファンなので、それに釣られて聴いてるうちに「この人めちゃくちゃ上手いな」となり、ファーストアルバムを出すって言うから買い、まあそれも思った通りに良くて、近所でツアーがあるって言うから申し込んだ。そして当たった。イエーイ

 

ライブの始まりはそれはもう緊張して仕方なかった。普通の人は「いや何でお前が緊張すんのw」と思うだろうが、知らざあ言って聞かせやしょう(多分使い方が違う)、私は緊張しやすすぎて、そしてそれが直行で膀胱に来る心因性の病気で、まあまあひどくて中学から学校に行けず、何だかんだでだいぶ治って働けてる今も投薬治療を続けてる女だ。日常生活に支障が出ることは少なくなったが、こういうライブなどの「絶対トイレに行きたくない状況」になると途端に尿意が暴れ出す。開場から開演までの1時間で私は3回トイレに行った。それでもなおトイレに行きたかった。膀胱というか脳、マジでいい加減にしろ。

 

まあそんなことはどうでもいい。話したいのはライブの話だ。

席はいい席だった。藤井風の頭のてっぺんからつま先まで、ステージの右端から左端までくまなくよく見えた。近すぎず遠すぎず、ちょうどいい席。しかしこの近さで椎名林檎(推し)が見れたらその日が私の命日だなと思った。前の席の男性がガタイがよくて時々視界に入ってきたが、それは私が170センチの高身長美女でないことが悪いので仕方がない。

 

藤井風は本当にYouTubeで見ていたままだった。顔は精巧なCGかと思ってたけどCGじゃなかったし、長い指は足長蜘蛛の足のようにじゃらじゃら動き、口から音源に輪をかけて迫力のある声を出していた。野菜ばっかの生活しててどこからそんな声が出るのだ、というぐらい通る声だった。藤井風って実在してるんだなぁ、と思った。

 

曲はファーストアルバムのほとんど(全部かもしれない)と新曲3つ、カバーでYUIのCHE.R.RYと矢島美容室を歌っていた。YouTubeでの矢島美容室のカバーが好きだったので純粋に嬉しかった。他にも英語の歌を歌ってた気がする。

 

CDやYouTubeで聞いた通りの上手い歌、スマホの画面で見た通りの容姿、その合間に流暢な英語が混ざったたどたどしくも笑いを誘う日本語というか岡山弁。こりゃ売れるわーと聴いていて、実を言うとそこまでは割と正気を保っていたと思う。何と言うか、「想定内」だったのだ。期待通り上手くて、満足できるライブだった。その後の話をしたいの。前置きが長すぎる。

 

最後の曲から2曲目ぐらいだったと思う。私は何かの瞬間、いきなり藤井風が少年に見えた。何言ってるんだ?と思われると思う。私にもまだよく分かってない。なんか、いきなり彼が若い、年相応の人間に見えたのだ。それまでは想定内の「藤井風」だった。見た通り、聴いた通り、期待通りのアーティストだった。人を魅了するために生まれたようなお人だなー、とある種客観的に見ていたのだと思う。いや客だけど。

 

だのに、何かの瞬間にいきなりあどけない、若い少年に見えた。私が昭和のマンガのキャラクターだったら、腕で目をごしごしと擦っていたと思う。いきなり画面の向こうの宇宙人が年相応の人間に見えたのだ。本当にびっくりした。衝撃に呆気に取られてポカーンとしていたら、いつの間にかライブは終わっていた。何だったんだ。

 

帰途につき、「あれは何だったんだ…」とずっと考えていた。

思えばその瞬間まで、私は藤井風を人間だと思っていなかったのかもしれない。素直に暴言だが、割と本気だ。彼は私より少し年上で、ピアノも作詞も作曲も歌唱も満点を叩き出してしまうような才能溢れる新星アーティストである。そんな人が私と同じ人間であるはずがないような気がしていた。他で例えるなら、私は愛らしく若く美しい女優にも同じような目を向けることがある。何と言うか、漫画のキャラクターを愛でるような気持ちで見てしまうのだ。言うなれば「次元が違う」というやつである。

 

そう思って見て聴いていたのに、いきなり人間に見えた。若く、青く、あどけなくて脆い人間に見えた。私は少なからず動揺した。目の前で圧倒的に輝く彼は私と同じ若い人間である。その事実に慄いてしまった。

 

……はっきり言って、何を言ってるか分からないと思う。私も正直そんなに分かってない。

 

もともと彼を人間として見ていた人からすれば「何を今更」という感じだろうし、それが多分普通だと思う。

 

しかし、才能溢れる人を人間と思わなかった私には、それは新鮮な驚きだったらしい。

 

それと同時に、「人間……捨てたものじゃないな……」と思った。

あどけなく若く脆く見えた彼は、それでも圧倒的に輝いていた。むしろ、同じ人間だからこそ共感を覚えるのかもしれない。本当に、本当に輝いて見えたのだ。

 

 

何かよう分からんけどすごいものを見たな。そう思いながら今スマホフリック入力をしている。人間ってすげーな。

 

そうこう考えているうちに家に着いたし、あれだけ緊張してトイレ行きて〜と思っていたはずなのにそれもいつしか忘れていた。この感覚を恐らく没頭したというのだろう。

 

 

もしかしたらあんな小さいキャパの会場で彼を生で見れたのはとてつもない幸運だったかもしれない。そんなことを思った。きっとそのうちチケットも取れなくなるんだろうな。

 

はーー、良いライブだったな。

 

 

 

P.S. 藤井風、10年後でもいいから椎名林檎のカバーアルバムを出してくれ。YouTubeもいいがCD派なんだ。私より。